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もアピールしようと、三月から五月まで、海に関わる俳句を全国的に募集しましたところ、五万九千八百五十通もの応募がありました。
五万通ぐらいは県外からの応募で、海外からの応募もありました。まさに、俳句で全国から「海の祭典」に参加していただいたわけです。審査は今話題の女流俳人の黛まどかさんにお願いして、最優秀賞に三重県一志郡一志町の徳井あつみさんの「国中の海のつながる祭かな」に決まりました。
賞品は、最優秀賞一名に賞金三十万円、優秀賞三名に賞金五万円のほか、抽選で百人に伊勢えびのプレゼントもあります。三重県の魚は伊勢えび(平成二年に県のさかなと指定)で、伊勢えびは脱皮を何回も繰返して、あの見事な姿になるのですが、あの生命力の強さと姿、形でお祝い事に喜ばれています。
永井 知事も応募されたのですか。
北川 ええ、私も応募した一人なんですよ。その俳句が「湾と灘、リアスもあるよ三重の夏」です。芸術性は別として、伊勢湾と熊野灘、リアス式海岸の伊勢志摩を全部詠み込みました。
永井 なるほど。まず、黒潮おどる熊野灘で、黒潮は異文化を運んでくる海の道ですね。また伊勢湾は人々に豊かな恵みをもたらす豊穣の海ですね。そして、この灘と湾に挟まれた伊勢志摩は海陸が入り組んだリアス式海岸で、温暖で水温が高く、真珠やタイ、ハマチ、ノリなどの養殖が盛んですね。
広い視野で”海”をとらえたい
北川 北海道や離島の多い長崎、鹿児島などを除けば三重県の海岸線は日本でもトップクラスの長さです。もちろん港湾は海を考える上で大切な視点ですが、海は文化を運ぶ道であり、暖流と寒流がぶつかる所という視点で海を見ることも必要です。それで、私は「海の祭典」をそういう観点でも見て欲しいと運輸省の方に何回もお願いしました。
産業から見た海は大事ですが、同時に生命力の源としての海も考えなければいけない。伊勢湾がごみ捨て場になったら、二度と取り返しがつかないというような環境面も議論してほしい。今回の「海の祭典」はそこに力を入れて頑張ってやろうと思っています。
永井 今年から七月二十日は国民の祝日「海の日」になりますが、昨年までこの日は「海の記念日」でした。海というと船、船というと港湾そして海運中心の記念日でした。それが今度から、海運や水産や資源などの産業面だけでなく、環境や文化など全てを含めた海

 

 

 

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